- マーガリンを塗るたびに体に悪いのかなと思ってストレス溜まる人
- トランス脂肪酸が安全か危険か知っておきたい人
- トランス脂肪酸を摂取する時の注意点を知りたい人
「トランス脂肪酸って体に悪い」って聞いたことある方が多いと思います。
私も何度も聞いたことがありましたし、実際その通りだと思っていました。
でも気になって色々なところで調べるうちに、結構イメージと違うんだなって思うことがあったんです。
なので今回はトランス脂肪酸の危険性について記事にしました。
この記事は理学療法士で、栄養マニア、永遠のダイエッターでもある私が、ダイエットをしている方や健康になりたい人のために、できるかぎりわかりやすく書いていきます。
この記事を読むことで
- トランス脂肪酸とその危険性・安全性について知ることができる
- トランス脂肪酸について理解ができ家族や自分自身の健康を守ることができる
- トランス脂肪酸にの摂取について注意すべきことがわかる
朝はパンから!なんて人は、気になる内容ではないでしょうか。世間のイメージとは違っているので、ぜひ読んでみてください。
さあ、早速解説していきましょう。
トランス脂肪酸、結局食べても問題ないの?
トランス脂肪酸、結局食べても問題ないの?という疑問をお持ちの方へ。
結論からお伝えします。
- 少量であれば全く問題なし
- 過剰に摂取すると体に悪いのは事実
そして、日本人は欧米人に比べ平均摂取量が少ないので、過剰摂取のリスクは少ない。
そもそもトランス脂肪酸とは?
トランス脂肪酸は、食品の加工過程で植物油を水素添加することによって生成される特定の形態もつ脂肪酸※⑴です。
トランス脂肪酸は長期間の保存や食品加工において有用であるため、加工食品や一部の調理油、焼き菓子、揚げ物、ファーストフードなどの食品に広く使用されています。
しかし、科学的な研究によってトランス脂肪酸の健康への影響が明らかにされ、その危険性は広く認識されています。
※⑴脂肪酸は私たちの体にとってエネルギー源となり、細胞の構成要素として働く、食事や健康において重要な役割を果たしている化学物質です。
トランス脂肪酸が人体に与える影響は
心血管疾患リスクの増加
トランス脂肪酸の摂取は、心血管疾患のリスクを増加させます。
それはトランス脂肪酸は悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を増加させ、同時に善玉コレステロール(HDLコレステロール)を減少させる作用があるため。
この結果、動脈硬化や冠動脈疾患の発症リスクが上昇します。
肥満と2型糖尿病のリスク増加
トランス脂肪酸の摂取は、2型糖尿病や肥満のリスクを増加させる可能性があります。
トランス脂肪酸は体内の脂肪蓄積を増加させ、肥満の原因となります。
さらに、トランス脂肪酸がインスリンの感受性を低下させることで、血糖コントロールの悪化や糖尿病の進行を促進する可能性があります。
炎症反応の活性化
トランス脂肪酸の摂取は、体内の炎症反応を活性化させることがあります。
なぜならトランス脂肪酸は人工的な加工・加熱をを経て、細胞膜の構造が変化しているためです。
細胞膜の異常な構造は、免疫応答や炎症反応に悪影響を及ぼし、炎症性疾患のリスクを高めるのです。
妊婦や乳幼児への影響
トランス脂肪酸の摂取は、妊婦や乳幼児にも影響があると考えられています。
胎児や乳幼児の発育に悪影響を及ぼす可能性があり、特に脳の発達に影響を与える恐れがあると言われているからです。
また、トランス脂肪酸は母乳中に胎児に移行するため、授乳期の母親がトランス脂肪酸を摂取すると乳児にも悪影響を及ぼす可能性があると考えられています。
トランス脂肪酸どれくらいなら食べていいのか
- WHOは総摂取エネルギーの1%に相当する量よりも少なくすることが目標としている
- 諸外国に比べ、日本におけるトランス脂肪酸の平均は0.44~0.47%と低値
- 1日の摂取目安は約2g以下が望ましい
WHOは、2003年に、生活習慣病を防ぐために食事からとる栄養素の量の目標を公表しました*1。脂質のうち、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸については上限量を設定し、それより多くとらないようにすることを目標としました。トランス脂肪酸については、とる量を総摂取エネルギーの1%に相当する量よりも少なくすることが目標です。
トランス脂肪酸に関する国際機関の取組:農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_kokusai/index.html
各国・地域における総脂質及びトランス脂肪酸の推定一日平均摂取量
国・地域名 調査時期 集団 総摂取エネルギー量に対する割合(%) 総脂質 トランス脂肪酸 (参考)WHOの目標値 – – 15~30 <1.0 食品中のトランス脂肪酸濃度等の自主的な低減を推進 日本 2003-07年1)
2005-07年2)
2007年3)1歳以上 25.83) 0.311)
0.44~0.472)オーストラリア4) 2011-12年 2歳以上 30.9 0.6 ニュージーランド5) 2008-09年 15歳以上 – 0.6 食品中のトランス脂肪酸濃度を規制 EU 1995-96年6)
(規制前)男性 – 0.5~2.1 女性 – 0.8~1.9 2003-13年7)
(規制前)84歳以下 – <1.0*1 部分水素添加油脂の食品への使用を禁止 米国 1994-96年8)
(規制前)20歳以上 – 2.6(全ての食品由来)8) 2.0(部分水素添加油脂由来のみ)8) 2011-12年9)
2012年10)
(規制前)2歳以上 339) 0.5*2
(部分水素添加油脂由来のみ)10)カナダ 2004年11)
2008年12)
(規制前)9歳以上11)
1歳以上12)30.3~32.211) 1.4212) *1 一部のEU加盟国では、特定の年齢層や所得層におけるトランス脂肪酸から摂取する平均的なエネルギー量は、総摂取エネルギー量の1.0%より多いと報告されています。
各国・地域における脂質・トランス脂肪酸の摂取量:農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/intake/intake.html
*2 トランス脂肪酸摂取量が上位10%の人がトランス脂肪酸から摂取するエネルギー量は、総摂取エネルギー量の1.0%です。
海外の方の摂取量と比べると、日本人の摂取量はかなり少ないことがわかりますね。和食の影響です。海外の方は摂取量が多いので、それを制限する法律が制定されるのも納得です。
トランス脂肪酸の海外での扱い
アメリカ
2015年、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、食品中のトランス脂肪酸使用に対して制限を設けました。
2018年6月以降、食品メーカーはトランス脂肪酸を含む添加物を使用する際にはFDAの承認を必要としています。
EU
EUでは2021年より、食品中のトランス脂肪酸の上限値を設定しているようです。
そのため消費者向けに食品を販売する場合、当該食品中のトランス脂肪酸は脂質100g中2gを超えないもののみが流通可能となっている。
カナダ
カナダは、栄養成分表示の1つとして包装された食品中のトランス脂肪酸の含有量表示を世界で最初に義務付けた国です。
2018年9月17日からは、部分水素添加油脂の食品への使用を禁止しています。
アジア諸国
台湾は2015年に食品中のトランス脂肪酸の最大量を制限する法律を導入しました。
同様に、タイやフィリピンなどの一部の国では、トランス脂肪酸の使用が禁止されている場合もあります。
このように、多くのアジア諸国が、トランス脂肪酸の使用を制限する法律や規制を導入している現状です。
日本でのトランス脂肪酸の扱い
表示の義務や濃度に関する基準値
日本では、食品中のトランス脂肪酸について、表示の義務や濃度に関する基準値はありません。また、トランス脂肪酸だけではなく、不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸、コレステロールなどの他の脂質についても表示の義務や基準値はありません。
すぐにわかるトランス脂肪酸:農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_wakaru/#:~:text=日本では、食品中の,や基準値はありません%E3%80%82
日本では表示の義務や濃度に関する基準値はないのが現状です。
そのため、食品表示でマーガリン、ショートニング、バター、食用調合油等と書かれているものにはトランス脂肪酸が含まれている可能性があると覚えておいてください。
食品業界の自主的な取り組み
日本の食品業界では、トランス脂肪酸使用の見直しや削減に向けた自主的な取り組みが行われています。食品メーカーや外食産業は、トランス脂肪酸を極力使用しないように努め、健康への配慮を行っています。
日本にはトランス脂肪酸についての表示の義務や濃度に関する基準値がないのは事実です。そういう意味では海外と比較し対応が遅れているとも言えますね。
トランス脂肪酸が含まれる食品はこれ
表1 国内に流通している食品中のトランス脂肪酸含有量(g/100g)
トランス脂肪酸とは – 一般財団法人 東京顕微鏡院
食品名 トランス脂肪酸 食品名 トランス脂肪酸 マーガリン 7.00% 牛肉 0.52% ショートニング 13.60% 牛乳等 0.09% ビスケット類 1.80% ヨーグルト等 0.04% スナック・米菓子 0.62% バター 1.95% 食用調合油等 1.40% 脱脂粉乳 0.02%
https://www.kenko-kenbi.or.jp/columns/food/2070/
マーガリン、ショートニング、バター、食用調合油等に含まれているのが多いことがわかります。
またフライドポテト、フライドチキン、天ぷら、コロッケなどの揚げ物には食用調合油が含まれている可能性があるためトランス脂肪酸が含まれている可能性があります。
クッキー、ビスケット、クラッカー、パイ、ドーナツ、チョコレートバー、ポテトチップスなどの加工食品やお菓子にもマーガリンやショートニングが使われていることが多く注意が必要です。
私の家で使っているマーガリン「ラーマ バターの風味」で考えてみよう
私の家に常時おいてあるJ -オイルミルズ株式会社から出している「ラーマ バターの風味」でトランス脂肪酸がどれだけ含まれているか検証してみます。
箱を捨ててしまっていたので成分表示はメーカーの公式ホームページからの引用です。
ラーマの基本情報とメーカーの見解
栄養成分表示
エネルギー 75kcal たんぱく質 0.02g 脂質 8.27g 炭水化物 0.03g 食塩相当量 0.14g 名称/原材料名
ラーマ バターの風味|家庭用商品|JOYL – J-オイルミルズ
名称 マーガリン 原材料名 食用植物油脂(国内製造)、食用精製加工油脂、食塩、脱脂粉乳/乳化剤、香料、カロテン色素、(一部に乳成分・大豆を含む)
https://www.j-oil.com/consumer/product/cp_rama_butterfumi.html
「ラーマ🄬に含まれるトランス脂肪酸量」(下記表は1食分10gで換算
商品名 トランス脂肪酸 飽和脂肪酸 コレステロール ラーマ バターの風味 0.1(g/商品10g) 2.2(g/商品10g) 検出せず(※) ラーマ ベーシック 0.1(g/商品10g) 1.9(g/商品10g) 検出せず(※) ラーマ バター好きのためのマーガリン 0.1(g/商品10g) 2.3(g/商品10g) 0.1(mg/商品10g)
- 1食あたりのラーマの量を10gと推定しています。
- トランス脂肪酸の含有量については、消費者庁公表「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」に記載されている分析方法を参考にした方法による参考値です。(自社調べ)
- 飽和脂肪酸およびコレステロール含量については消費者庁の栄養表示基準関連通知に記載の方法による参考値です。
※ コレステロールの“検出せず”とは、分析可能な数量(0.1mg)未満であることを意味します。
トランス脂肪酸への対応|JOYL – J-オイルミルズ
https://www.j-oil.com/deliciousness_and_health/trans_fat/
ラーマを食パン1枚分(10g)使うとトランス脂肪酸は0.1g
ラーマを食パン1枚分を使うと、そこに含まれるトランス脂肪酸の量は
0.1g。
つまり1日の摂取量の目安が2g以下なので、マーガリンを塗った食パンを20枚食べてようやく健康を損なう危険性があるレベルに到達するということになります。
マーガリンを塗った食パンを毎日20枚食べ続けるって人はほぼいませんよね。
そのため、過剰摂取になる可能性は低く、安全性に問題はないと言えます。
ここまで含有量が少ない理由として「J -オイルミルズ社」の取り組みを紹介します。
以前はもっと多くのトランス脂肪酸が含まれていました。それを企業努力によって軽減してきたことが伺えます。
取り組み① トランス脂肪酸を多く含む部分水素添加油脂を使用しない製品づくり
2009年よりトランス脂肪酸を多く含む部分水素添加油脂の低減を進め、2018年4月製造分からは家庭用マーガリン類全製品において部分水素添加油脂を使用しておりません。
取り組み② 使用する油脂や加工工程、精製工程の継続的な見直しによる、さらなるトランス脂肪酸低減にむけた取り組み
トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一つに分類される脂肪酸で、油脂を加工(部分水素添加)したり、精製したりする時にできますが、その工程の見直しや使用油脂の検討などを継続的に行っています。
これらの取り組みにより、家庭用マーガリンブランド「ラーマ®」に含まれるトランス脂肪酸の量は100g中1g程度に低減されています。
トランス脂肪酸への対応|JOYL – J-オイルミルズ
https://www.j-oil.com/deliciousness_and_health/trans_fat/
このように、企業の努力によって以前よりトランス脂肪酸が低減している商品は数多くあります。
そのため、なんとくなく体に悪いイメージが着いているトランス脂肪酸ですが、実際に製品に含まれている量は大きく減少してきているということがわかります。
トランス脂肪酸に対して私の意見はこれ
結論からいうとトランス脂肪酸は
ストレスなく避けられる範囲で避けるればよいというのが私の意見です。
トランス脂肪酸は国やWHOが人体に悪影響を及ぼすと明らかにしている成分で、心疾患等のリスクを増加させるのは事実ですが、和食を食生活の中心とした日本人は、もともとの摂取量がWHOの摂取目標を大きく下回るほど少ないので、
健康を害するほど大きな問題にはならない
というのが私の考えとなります。
付け加えると、各企業がトランス脂肪酸の量を減らすための企業努力をしているため、マーガリンなどの製品は含まれている量が大幅に軽減されているというのが現状です。
そのため、市販されているマーガリン等には大きな心配はいらないと私は考えています。
一方、食生活の変化にともない、加工食品の摂取が増えすぎている方が問題ではないでしょうか。
加工食品に含まれている食品調合油には明確にトランス脂肪酸と記載してない場合がほとんどで、気付かないうちににたくさん摂取しているということもあります。
やたらと加工食品を食べるのではなく、自然食品を多く摂取するいうスタンスであれば、トランス脂肪酸を摂りすぎることはありませんね。
パン好きな方はマーガリン使っても大丈夫!ただ、油には変わりないので摂り過ぎにはご注意を。
トランス脂肪酸まとめ
- トランス脂肪酸は摂りすぎると心血管疾患等のリスクを増やすことは事実
- 日本人の平均摂取量はWHOの基準を大きく下回るのもで健康に大きな問題はない
- 「ラーマ バターの風味」ではWHOの安全基準を超えるには食パン20枚分必要
- 加工食品にはトランス脂肪酸が含まれている可能性が多く、健康のためには自然食品を多く取り入れるスタンスが必要
ここまで、トランス脂肪酸の危険性についてまとめてきました。今までなんとなく体に悪いイメージしかなかったトランス脂肪酸について、理解が深まったと思います。
あなたの人生が健康的で幸せなものでありますように祈っています。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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